足ヘバーデンの保存的療法

40歳以降のひどい外反母趾

「足へバーデン」の保存的療法はすでに確立されている

ひどい外反母趾となる「足ヘバーデン」の治療法は、私の著書「外反母趾は今すぐ治す」(自由国民社刊)の中で解説した「痛みのある場合のテーピング法」と同じですが、改めて解説しておきましょう。

 この治療法は、この後に説明する足にも起こる「へバーデン結節」にわずかな外力(捻挫)が加わった「足の第二指付け根の痛み」や「足の第四指の付け根の痛み」「足の甲の痛み」にも共通であり、最適なテーピング法(カサハラ式足裏バランステーピング法)なのです。

 治療の期間は個人差があり、半年から一年を要する場合もありますが、このテーピング法以外に自分で簡単にできる「三本指テーピング靴下」と「専用サポーター」との併用方法や、また外出する時には「包帯」と「三本指テーピング靴下」との併用法で無理なく続けることが大切です。

 カサハラ式テーピング法と三本指テーピング靴下や専用サポーターをそれぞれ交互に使用することで、治療の苦しさがなく、長期間の治療が可能となり、治癒に至ることができるのです。  さらに「足ヘバーデン」の人は関節内の軟骨がもろく、重力の負担によって変形や骨破壊が発生しやすいという特徴があるので、過剰な衝撃(地震の縦揺れ)とねじれ(地震の横揺れ)を吸収無害化させる人工筋肉素材の免震インソールを靴の中に敷くことも効果的です。

今すぐできる保存的療法の図解と手順

用意するもの

●5センチ幅の伸縮性のあるテーピング用テープ。できるだけ薄く、伸縮力があり、かぶれにくい素材を選ぶ。
●五裂の綿包帯。約6センチ幅で、伸びない綿素材を選ぶ。

テープの作り方(片足分)
  • 1

    23センチの長さにカットした基本テープを四枚用意する。「かかとテープ」一枚、「基本アーチテープ」二枚、「包帯ズレ防止テープ」一枚の計四枚として使用。

  • 2

    15センチの長さにカットしたテープを一枚用意する。片隅3センチを残し、図のように二本の切り込みを均等に入れた「親指テープ」一枚として使用。

  • 3

    9センチの長さにカットした「小指テープ」を一枚用意する(一枚で両足分取れる)。一辺を3センチ、反対側の一辺を2センチの幅にカットする。2センチ幅の先端より左右均等幅で切り込みを入れ、「小指テープ」一枚として使用。

  • 4

    20センチの長さで図(P79参照)のように台形にカットした「足裏横テープ」一枚として使用。「カットするのが面倒臭い」、「忙しくて時間が取れない」という人はカット済みのテープを使用すると便利です。

治療後のケアと注意点を知っておくと安心

痛みがひどい場合には足首にも包帯を巻いてください。カサハラ式テーピング法を行った後のケアと注意してほしい点が三つあります。

 まず、足ヘバーデンや関節リウマチで急性期(炎症期)の人は、巻いた直後や夜間に痛くなる場合があります。テープで親指を少し矯正しただけでも痛む場合があるので、痛んだら親指テープの指先部分だけを外してください。ただしこの場合、足関節の包帯固定は必ず行います。三週間位で炎症が止まり、痛みが治まってから、再び親指テープを弱く貼ることから始めます。

 次に包帯を用いたテーピング法を行った場合、風呂で濡らすことができないので、ビニールなどをかぶせて、浴槽の縁に足を出して濡れないようにするか、シャワーを中心にしてください。

 三つめはテーピングは通常二~三日で貼り替えるということです。また、それ以外の日は専用テーピング靴下とサポーターとの併用か、あるいは「包帯と専用テーピング靴下との併用法」を、テーピングと交互に使い分けると手間が省けるので継続して行えます。

 例えば三日間テーピングを貼ったら、あとの一週間は前に説明したように、三本指テーピング靴下とサポーターとを併用する、または、「包帯と三本指テーピング靴下」との併用で簡単に使用を続けて、治癒に導いてください。尚、痛みがひどい場合には、足関節を包帯固定して足への負担を軽減させてください。その場から楽に歩けるようになります。

自分で簡単にできる保存的療法だから継続できる

「包帯」と「三本指テーピング靴下」との併用や、また「三本指テーピング靴下」と「専用サ ポーター」との併用で、自分でも簡単に改善することができます。それにはまず、「三本指テーピング靴下」や「専用サポーター」の機能性をよく知ることが必要です。機能性を理解すると、だれでも真剣に治そうという気持ちが起こり、継続できるからです。

三本指テーピング靴下の特徴と機能性

●二本のテーピング機能が編み込まれており、これがゆるんだ足裏の横アーチ「中足関節」と、縦アーチ「リスフラン関節」を押圧し、足裏のバランスを整え、指が広がる。犬や猫の足を両側から押すと、指が開くことと同じ機能。
●三本指タイプの機能は、親指と小指を別々に分けると、残りの三本の指に力が入り踏ん張れるようになる。犬や猫の足は、親指はかかと、小指は反対側にあり、離れているので残りの三本の指に力が入り、追いかけたり、逃げたりするのに役立っている。

専用サポーターの特徴と機能性

●三本指テーピング靴下の上に装着するので違和感が少ない。
●ゆるんでいる「中足関節」と「リスフラン関節」を強力にサポートできるので、足裏のアーチを再生しやすい。
●指先が筒型タイプなので、ひどい外反母趾「足ヘバーデン」にもフィット感があり、かかとにベルトが付いているのでズレにくい。
●室内では「三本指テーピング靴下」と専用サポーターとの併用。外出で靴を履くときは、先に「6センチ幅の綿包帯」を弱めに四~五周位巻いて、その上から「三本指テーピング靴下」を使用すると、日常生活の中で楽に継続することができる。