「足ヘバーデン」

40歳以降のひどい外反母趾

「足ヘバーデン」


 

実は中高年の「ひどい外反母趾」のほとんどは、「ヘバーデン結節」という病気が足指の付け根の骨や「中足関節」に発症したものです。

足に発症したヘバーデン結節の症例について、まだ詳しい報告や研究発表がなされていないので一般の人に知られていません。私はこれを仮称「足ヘバーデン(カサハラ外反結節)」と名付けて知ってもらうようにしています。「ヘバーデン結節」は手の第一関節(DIP関節)が変形するのに対し、「足ヘバーデン」は足の中足関節(MP関節)に変形が大きく出るのが特徴です。

一般的に知られている外反母趾とは異なるので、ひどい外反母趾となる「足ヘバーデン」とを区別しなければなりません。なぜなら「足ヘバーデン」は進行性で、特に痛みがある急性期(炎症期)に我慢し、適切な治療がなされないと、二~三か月で急に曲がったり骨が出っ張ったり、親指の付け根の骨が厚くなったりするなど、見るからにひどい外反母趾へと進行してしまうからです。

さらに、足は体重が常に加わるので時間経過と共に中足関節(MP関節)の変形が進行して、足の人差し指(第二指)の付け根や足の薬指(第四指)の付け根に鋭い痛みが起こったり、甲の骨が高くなったり、歩く度にズキンズキンとした激痛がしたり、さらに足裏に分厚いタコができたりします。

「関節リウマチ」もひどい外反母趾になります。これとは異なりますが、「足へバーデン」も関節リウマチと同じようなひどい外反母趾になってしまうので区別しています。「足ヘバーデン」に対する正しい知識と早めの治療で、変形を最小限に食い止めることが必要なのですが、初期の「足ヘバーデン」は、「関節リウマチ」に比べて治りがとてもよいのです。

国民病「足ヘバーデン」は「ひどい外反母趾」になってしまう


一般的な外反母趾とヘバーデン結節という病気が原因となる「ひどい外反母趾」、仮称「足ヘバーデン(カサハラ外反結節)」とが区別されていないのが現状です。混同している場合があまりに多いので、これを区別する知識が早急に必要なのです。 私の調査では、「足ヘバーデン」に限ると、六十歳以上の場合、手のヘバーデン結節に近い割合で見られます。そして、手の「へバーデン結節」やCM関節症と「足へバーデン」を合わせると驚異的な数になるので、「国民病」と言っても過言ではないと考えています。

「足ヘバーデン」がある人たちは足の変形だけでなく、他にもいくつかの痛みを訴えています。しかし問題なのは、一般的な外反母趾と、へバーデン結節が原因となるひどい外反母趾「足ヘバーデン」とが区別されず混同していることです。そのために、初期の段階で見過ごされ適切な治療が受けられず放置されて、ひどい外反母趾「足ヘバーデン」に進行させてしまって、ほとんどの人たちが手遅れになっています。

初期の段階で適切な治療をするとひどい変形は起こらず、または最小限にくい止めることができますが、このメリットに気づいていないのが現状なのです。
そうして何の治療もしてもらえず、ひどい外反母趾「足ヘバーデン」へと進行してしまうのです。多くの医療現場において、へバーデン結節は手の第一関節だけに起こるという先入観があり、足に起こる「足へバーデン(カサハラ外反結節)」に気づいていないことが治療家の大きな落ち度になっているのです。

私は手遅れの患者さんに出会う度に無念で、そして心が張り裂けるような焦りを感じてしまいます。だからこそ足に違和感を感じたら、「足ヘバーデン」の特徴に照らし合わせて判断してほしいのです。

「足ヘバーデン」の特徴

  • 1

    親指がねじれて爪が外側に向いて変形

  • 2

    急に痛みが出た後、三か月位で急に曲がる

  • 3

    変形の角度(外反角)が鋭角で曲がっている

  • 4

    母趾球部の骨が太く肥厚していたり、拘縮して親指の動きが悪かったりする

  • 5

    急性期(炎症期)にテーピングで矯正すると痛みが出る

  • 6

    足ヘバーデンは片方の足から発症する。特に重力の負担を多く受ける右足から発症する場合が多い