「腰の痛み」

ヘバーデン結節と全身症状

中高年の女性の腰の慢性痛は「腰ヘバーデン」

 中高年女性で何年も腰痛に悩まされ、そして治らない腰痛は、「ヘバーデン結節」が腰椎に発症した可能性があります。これも見落とされていることが多いのですが、このような人たちは、強いマッサージや整体などを受けた後、逆に痛みが増す場合が多くあります。また、中高年で原因もなく分離症・すべり症・ヘルニア・狭窄症と診断された人の多くが、手や足にも「ヘバーデン結節」が見られます。

 特に、狭窄症でうまく歩けない人や車椅子のお世話になっている人に「腰ヘバーデン」が集中して見られます。四十歳以降の女性で、「ヘバーデン結節」が隠れた原因となって腰椎分離症・腰椎すべり症・腰椎ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症などそれぞれ腰椎の疲労骨折を発症してしまう状態を、私は仮称「腰ヘバーデン」と名づけています。この場合、「ヘバーデン結節」が腰にも発症しているので、「一般的な腰痛と区別して治療する」ように警告しています。

症状

1何年も通院していても痛みが治りきらない、腰が楽にならない

2買物で長時間歩いた後や仕事などで長時間立っていた後に必ず痛む

3強めのマッサージや整体を受けた後、逆に痛み出す

4思い当たる原因もないのに、画像診断で圧迫による変形や骨の異常を指摘される

5年に一~二回ぎっくり腰を起こし、年々その症状が悪化している

6夜寝ている時や安静にしていても痛むことが多くある

7手や足にヘバーデン結節があり、腰以外にも複数の関節に慢性痛がある

8将来、車いすになってしまうなどの本能的な感覚での不安感がある。

四十歳以降の女性で、分離症・すべり症・ヘルニア・狭窄症と診断されている人は、「ヘバーデン結節」が腰に発症し、骨を変形、破壊している場合が多いので、手や足にヘバーデン結節がないかどうかをチェックすることが重要です。なぜなら、見落とされ、治療法が間違っている場合が多いからです。


原因と診断

腰痛は、通常の原因以外に、「ヘバーデン結節」という病気が隠れた原因となるものが四十歳以降の女性に多く見られます。「ヘバーデン結節」は、関節リウマチと同じように骨がもろく変形しやすいという特徴があります。  外反母趾や浮き指・扁平足などの足裏の異常があると、体の重心をかかとへ片寄らせてしまいます。その重心のかかとへの片寄りは左右差を伴い、その左右差を補うため、腰椎がずれたり、ゆがんだりします。そのずれたりゆがんだりしたところに、歩行時、かかとからの過剰な衝撃波とねじれ波が繰り返され、次第に腰椎に変形が起こってきます。さらに、腰に「ヘバーデン結節」が加わることで、腰椎に疲労骨折が起こるのです。その疲労骨折の形によってそれぞれ分離症・すべり症・ヘルニア・狭窄症と名づけられています。特に注意する点は

  • 手の指先、第一関節だけが太く変形していないかをチェック。また、親指の付け根の「CM関節」が出っ張っていたり、押した時に痛んだりしないかなどのチェック         

  • 「ヘバーデン結節」が足に発症した「足ヘバーデン」(仮称)で進行した外反母趾があり、親指が外方向にねじれ爪が外側を向いて変形(回内位)しているかどうかをチェック

  • 腰以外に、足首やひざ・股関節・首に慢性痛がないかをチェック


治療法

まず、「一般的な腰痛」か「ヘバーデン結節」が隠れた原因となる腰痛かをチェックすることです。もし、「ヘバーデン結節」が手や足にあるようなら注意が必要です。骨がもろい、変形しやすい、特に「重力の負担」によって痛みや変形、疲労骨折が発生しているので、「バランス・免震・固定」を中心にした治療の3原則で、「重力の負担」を軽減する治療をしなければならないのです。

1バランス
外反母趾や浮き指、扁平足に対し、足裏のバランスを整える専用のカサハラ式テーピング法やそれに代わる三本指タイプの専用テーピング靴下で足裏を安定させ、足裏のセンサー「メカノレセプター」の機能を回復させる。

2免震と血行
靴の中へ人工筋肉素材の「免震インソール」を入れ、かかとからの過剰な衝撃波とねじれ波を吸収無害化し、腰へ伝わらないようにする。さらに下肢の血行促進により、全身に血液や酸素が回る施術を行う。

3固定
最初に、腰ではなく股関節にサラシ包帯を巻き、股関節の左右差を先に整える。次にサラシ包帯に三分の一ほどずらして重ねて専用ベルトを装着して、腰の安静固定を保つ。

 腰痛の場合、一般的には腰を固定するが、これよりも股関節の左右差を整える固定が優先である。なぜなら、股関節が安定することにより、その上に乗る腰椎も安定するからである。サラシを巻くのが面倒だという場合は、専用ベルトだけを二枚巻くことでサラシ包帯固定に近い効果を出すことができる。この「治療の三原則」、①バランス ②免震と血行 ③固定 の三つの処置を同時に行うことで自然治癒力(自己治癒力)が最大限に発揮されます。期間は程度や個人差にもよりますが、ひどい場合でも平均一か月半位で痛みがかなり軽減し、症状が軽いか初期のうちなら三~四週間くらいで改善します。