「CM関節症」特徴と対処法

ヘバーデン結節と全身症状

ヘバーデン結節は親指の付け根の出っ張りや痛みを伴う(CM関節症)


CM関節症

手の指先の第一関節(DIP関節)だけが太くなり、膨れたようにゴツゴツと変形するのが「ヘバーデン結節」です。ヘバーデン結節を発症した人の多くに、手の親指の付け根の甲側が出っ張り、痛みとともに亜脱臼を併発しています。正式には「CM関節症(母指手根中手関節症)」と呼ばれています。

このCM関節に痛みや亜脱臼が起こる原因を「ヘバーデン結節」の関連症状ということは一般的にあまり知られていないことが問題で、別なものと思い込んでいる人が多すぎるのです。関節リウマチでも起こりますが、CM関節症の原因がヘバーデン結節の場合、私はこれを「CM関節ヘバーデン」と名付けています。

これらの症状を「ヘバーデン結節」とは別な原因と考えて、何をどう処置したらよいのかわからず、腱けん鞘しょう炎えんと勘違いする人も多くいます。結局そのまま放置して痛みが増したり、治まったりを繰り返しながら、次第にはっきりと出っ張り、亜脱臼と痛みを進行させてしまうのです。また、医療機関に行っても適切な診断と治療が受けられないのが現状で、そのまま放置して進行や悪化させている場合が多いので、あえて「CM関節ヘバーデン」と呼んで多くの人に知ってもらえるようにしているのです。

「CM関節症」って何?自分で改善する方法がある

CM関節症を知らない人は腱鞘炎と錯覚したり、ばね指や使い過ぎによる捻挫と混同している人が多いですが、これは「ヘバーデン結節」が関係する関連症状なのです。あくまでも「CM関節」の痛みやこの部分の出っ張った状態があり、ものをつかむ時など特に痛みがあるというのが「CM関節症」なのです。治療法は次の通りです。

 


用意するもの

1クッション部材(圧迫枕子)は3センチ四方の綿花やガーゼなどの弾力性のある素材

25センチ幅で長さ7センチの伸縮性のテーピング用テープ二本

35センチ幅で長さ23センチの伸縮性のテーピング用テープ二本

 

「CM関節」の固定法

綿花やガーゼをそれぞれ3センチ四方にカットした、クッション部材を長さ7センチのテーピングの中央に貼りつける。

  • 1

    それを「CM関節」の出っ張りに当て、親指を反らしながら横方向に貼り付ける。

  • 2

    次に7センチにカットした伸縮性のテープを、親指を反らして親指の中間位から手首にかけて縦方向に貼る。

  • 3

    続けて、23センチにカットした伸縮性のテープを、反対側(小指側)の手首からCM関節を圧迫し押し込むように斜めに貼る。この時テープは手を一周させない。

  • 4

    最後に23センチにカットしたテープを3センチくらい腕側にずらして反対側(小指側)の手首から貼り、CM関節上でクロスさせて押し込むように斜めに貼る。

「CM関節症」と「腱鞘炎」を区別しよう

CM関節のすぐ下の痛みとして、「腱鞘炎」や親指の内側に起こる「ばね指」と呼ばれる「弾発指」があるので、「CM関節症」と区別することが必要です。

腱鞘炎

腱鞘炎は手首に多く見られ、CM関節の下部のくぼみの部分(スナッフボックス)が痛む症状で、親指を曲げてくぼみの部分を押すと激痛がするのが特徴です。

原因

赤ちゃんを手首に力を入れ抱く動作を繰り返したり、コンピューターのキーボードやゲーム機を頻繁に使用したりする人に多く発症します。また、関節リウマチやヘバーデン結節の人にも発症しやすいです。

治療法

手首が上下に動かないように、手の平側に支えを入れ固定する保存療法が基本です。手の平半分位までの固定なので、指先は使用できてコンピューターなどの使用に支障が少ないのです。

ばね指(弾発指)

手首に近い痛みとして、親指の曲げ伸ばしの際、腱が引っかかってカクンとバネのように弾かれる症状が発生しますが、これを「ばね指」(弾発指)といいます。症状が進行すると指が曲がったままの状態になり、伸ばせなくなることがあります。まだ体が温まっていない午前中にこの症状があり、体が温まってくる午後は比較的楽になるという現象です。ばね指(弾発指)で最も多いのが親指で、次に中指、薬指という順ですが、「ヘバーデン結節」や「関節リウマチ」などが関係している場合は、複数の指に同時に発症することがあります。

治療法

保存療法では指の安静を保ち、マッサージや電気療法もありますが、長期を要します。ばね指(弾発指)の場合はステロイド注射が一般的に行われています。指が曲がったまま伸びないなどの症状がある場合は、手術で早く治るので、まずは専門医の治療を受けることです。このほかヘバーデン結節が隠れた原因となる「手しゅ根こん管かん症しょう候こう群ぐん」もまれに起こります。この場合も治りが悪いので、専門医の治療を受けることが重要です。

関節リウマチによるCM関節症もあるので区別する

CM関節症はヘバーデン結節以外に関節リウマチの患者さんにも多く見られます。関節リウマチの進行に伴ってCM関節が出っ張り、浮いた状態になるのです。 急性期、炎症期には痛みが著しいですが、慢性的なものは押したときに痛んだり、手作業の後に痛んだりします。関節リウマチの関連症状なので、私は「仮称:CM関節リウマチ」と呼んで、わかりやすく区別しています。ヘバーデン結節も関節リウマチも女性に多いのが特徴で、ヘバーデン結節よりも関節リウマチによるCM関節症の方が変形度が大きく、進行すると親指が脱臼したように反り返る「スワンネック」という独特の変形になります。

原 因

ヘバーデン結節も関節リウマチも、軟骨が変形、破壊されやすい、という共通点があります。親指に負荷をかけるとテコでいう「力点」となり、その付け根(MP関節)が「支点」となって「作用点」のCM関節に負荷が繰り返され、浮いたように出っ張ってきます。画像診断と実際の症状が一致しない場合があるので、レントゲンだけではわからないこともあるので注意してください。

治療法

関節リウマチ性のCM関節症もヘバーデン結節によるCM関節症と同じ保存療法が有効です。これらの施術を行っても改善せず、日常生活で著しい不便を感じる場合は手術が行われます。これらの症状が思い当たる場合は、手を専門とする経験の豊かな医師の治療が必要なのはいうまでもありません。