「股関節の痛み」

ヘバーデン結節と全身症状

中高年の女性に起こる「股関節ヘバーデン」

慢性的な股関節の痛みは「ヘバーデン結節」が股関節に発症した可能性がありますが、見落とされていることが多いのです。「ヘバーデン結節」が隠れた原因となる股関節の痛みは変形や短縮を伴う場合が非常に多く、四十歳以降の女性に集中しています。私はこれを仮称「股関節ヘバーデン」と呼び、「一般的な股関節の症状と区別」して治療するように警告しています。

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1急に股関節が痛くなり、四か月以上に続いて歩行時や歩いた後、次の日などに強く痛む

2だましだまし六か月位が過ぎて痛みが軽くなった後、片方の股関節の開きが悪く運動可動域が狭くなり、開脚運動が制限されていることに気づく

3Ⅹ線やMRIなどの画像診断で、骨頭部の変形や短縮、磨耗などの異常が確認できるようになる

4見た目でも、下肢の短縮と股関節部の骨頭の位置が外側へ出っ張っているのが確認できる。また、歩き方にも引きずるような跛行が現れる

5先天性股関節脱臼に、「ヘバーデン結節」が加わることで悪化、重症化する

6強めの運動をすると後から痛み出す

6人工骨頭などの手術を勧められる

四十歳以降の女性で股関節に痛みや運動制限などの異常を感じたら、まず最初に「ヘバーデン結節」が股関節に発症したかどうかをチェックすることが重要です。なぜなら、見落とされて重症化している場合が多いからです。

原因と診断

関節リウマチの場合は血液検査で判断でき、関節リウマチと股関節の変形を関連づけて原因を特定できますが、「ヘバーデン結節」の場合は血液検査ではわからないのです。まさか、「ヘバーデン結節」が股関節の大腿骨骨頭部を変形や骨破壊・壊死させたり、下肢の短縮を起こしたりしているとは思わないので、ほとんどの人が初めて聞くことなのです。「ヘバーデン結節」は、関節リウマチと同じように軟骨がもろく、変形しやすいという特徴があり、これに外反母趾や浮き指・扁平足など足裏の異常により、歩行時にかかとからの過剰な衝撃波とねじれ波が股関節に繰り返され、次第に変形や骨破壊が進行していくのです。診断には次の項目を参考にしてください。

チェック項目

  • 手の指先、第一関節だけが太く変形していないかをチェック         

  • 手の親指の付け根にある「CM関節」が出っ張っていたり、押した時に痛むなどのチェック

  • 「ヘバーデン結節」が足に発症した足ヘバーデン(仮称)でひどい外反母趾があり、親指が外方向にねじれ爪が外側を向いて変形(回内位)しているかどうかをチェック

  • 股関節以外にひざや腰・背骨・首などに慢性痛がないかをチェック

  • その他、家族に「ヘバーデン結節」や関節リウマチの人がいるかどうかを調べ、膠原病体質をチェック

治療法

股関節の痛みや変形が初期の場合、過剰な「重力の負担」を軽減することで、平均四か月位で痛まなくなり、普通に歩けるようになります。たとえ症状が進行し悪化した場合でも、同じように「重力の負担」を軽減しなければなりません。

その治療法は、
①人間の土台となる「足裏」をカサハラ式テーピングや専用テーピング靴下で安定させる
②免震処置となる人工筋肉素材の免震インソールを靴の中に入れる
③最後に患部となる股関節をサラシや専用ベルトで固定する

重力の負担度(破壊力)より安静度(治癒力)が上回る環境条件を整え、自然治癒力(自己治癒力)を最大限に発揮させるのです。これを六か月位続けていると、次第に痛みや変形などの進行も止まり、それ以上の悪化を防ぐことができます。何よりもこの「治療の三原則」が根本治療となるのです。

治療法の具体例(治療の三原則)

1バランス
人間の土台、足の基礎工事として足裏のバランスを整えるため、専用の足裏バランステーピング法や専用の三本指タイプのテーピング靴下で足裏から股関節を安定させる

2免震と血行
外反母趾や浮き指・扁平足があると、体の重心がかかとへ片寄るため、歩く時にかかとからの過剰な衝撃波とねじれ波という破壊力(介達外力)が繰り返されます。これを吸収無害化する人工筋肉素材の免震インソールで股関節を守る。さらに下肢への血行促進により、全身に血液や酸素が回る施術を行います。

3固定
股関節をサラシ包帯固定と股関節専用ベルトで固定します。サラシ包帯固定がうまく巻けない場合には、股関節専用ベルトを三分の一ほどずらして二重に巻いてください。股関節の安静固定が保たれることで、自然治癒力(自己治癒力)を最大限に発揮させる条件が整います。

この「治療の三原則」を基本として六か月位の目安で続けることです。悪化させてしまった場合であっても一年間位続けているとかなり改善してきます。まずは、しっかりとした理論の裏づけのもとに治療することです。